2010年05月22日
書は置き、里帰り編-幣押し 後編
参道から見える郷里
「かぶせー!」の掛け声の元、御幣を先頭にスクラムを組んだ
上げ番の男たちが、社に戻る獅子一行に襲いかかります。
御幣で獅子を覆いかぶそうとするわけです。
その間に割って入った、羽織・袴に笠姿、刀を模した竹を持った
警護係が止めにかかります。
厳かな神事が、一転、肉弾戦に。
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その後の参道です。
まぁだいたいのところ何があったかは想像がつくのでは。
お昼になったので一旦休憩。
ビールに酒に弁当。
差し入れのおかず(ソースカツ、カツオのたたき、etc)。
その間も行事は進みます。
さて、午後からの第2ラウンド。
ここで紙垂(かみしで)を全て取り除き幣だけにしてしまいます。
これでもう、御幣を置いてしまうことはできません。
さて、ここで幣押しの決まりを。
1)紙垂を取り除いた後は、御幣だけにしてはならない(*1)。
(上げ番、下げ番の誰かしらが常に持っている)
2)本鳥居を3回くぐったら、鳥居下には戻れない。
ただし、鳥居脇は何回通ってもOK。
上げ番と下げ番は幣を持ってもみ合い、取り合い、社の石段を上
がろうとしては押し返されたり。
時にはお女郎(*2)控えの間の板塀に突進したり、警護に阻止され
たり(*3)。
その後は3,4人が幣をかついで、ふらり、よたよた参道を上ったり
下がったり。
午後4時も過ぎた頃(*4)、御幣は鳥居くぐりも3回目。後はもう社
に上げるのみです。
ただ上げるのではなく、御幣の底(多角柱ですが下にいくほど細く
なっています)を石段の一段、一段に当てて登っていきます。
この十数段を上がるのが大変
下げ番は御幣が上がるのを邪魔します。
石段から転げたり、つぶれたり、かなり危険な時間帯です。よくも
みんな大きな怪我をしないなと思うのですが、神のご加護か、はた
またヨッパライのなせる業か(でもこのときには、飲んだアルコール
のほとんどがとんでいますが)。
トライも10回を越えた頃、雄叫びの中、幣が石段を登りきり社に上
がりました。
上げ番10数人が肩に担ぎ上げる御幣の先に、羽織、袴のお稚児さん
(小学校低学年の男の子)を乗っけます。
今回のお稚児さんはずい分機嫌が良くて、ずり落ちそうになっても
ニコニコ笑っています(大概は緊張のあまり顔がこわばっているか、
怖くて泣いているですが)。
そのまま社裏の神殿へ。
みんなで万歳三唱の中、お稚児さんを連れて、上げ番頭が神殿へ
入っていきます。
神主さんからお祓いを受けて上げ番の仕事が終わりました。
この後も、無形文化財の「王の舞」、「獅子の舞」があるのですが、
上げ番、下げ番、痛い足、きしむ体でずだらずだらと帰ります。
あー今年はいい天気でいいお祭りだった。
あと何回やれるだろう。
*1:どういう意味でしょうか?
正確にはしりませんが、紙垂には神の領域と外界の区別する、境界を示す
という意味があります。それが取り払われることで、境界がなくなった=
神と人が一体になった、ということではないでしょうか。
そうなっているはずなの御幣だけどこかに置いて、上げ番下げ番が休んで
いるのはおかしいですよね。
*2:"お女郎"
こちらは着物で着飾った小学生の女の子です。そして、着物で着飾りバッチリ
メイクのお母さんがつきそっています。
*3:勢いあまって板塀を突き破ってしまうこともあるのですが、そうなると板塀
全てを取り替えることになり、結構な散財になります(一枚だけ新しいのは
「ぶしょったい」というワケです)。
そうまでして突進してしまうのは、やってるほうも、やられるほうも楽しい
というのと、祭の王道だからではないかと思います。
願いは「五穀豊穣」、「子孫繁栄」ですから。おわかりになりますよね。
*4:一応、「4時頃には上げる」というストーリーがあります。
上げ番・下げ番、本気でやると血を見ることになるかもしれませんから。
でも手を抜くと怪我します。そういうお祭です。
Posted by 康酔 at 07:33│Comments(0)
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